以前の日記にも書いたが、今乗っている車も13年を過ぎ、アチコチ不具合が発生する時期に来た。 そんな昔の車でもエンジン、
トランスミッション、エアコン、ステアリングその他の制御を電子的に行っているので、故障が発生した場合は専用のアナライザーが無ければ
状態の把握とか問題箇所の特定は極めて困難となる。 今までは故障するとディーラーに修理に出して高い修理費用を払っていたが、あと
2年しか乗るつもりが無いので、出来るだけ D.I.Y.修理で済ませようと思っている自分にとっては頭の痛いところだ。
自動車制御電子化の中核となるのは自動車用プロセッサーChip(CPU)と並んでエンジン及び車体各部の状態を把握するセンサー類だ。
それらは、タイミングセンサー、O2センサー、温度センサー、ポジションセンサー、回転センサー、圧力センサー等々膨大な数が実装されており、
直接的な機器制御に使われるだけでなく論理的な条件・タイミングと組み合わせて異常状態の検出にも使用されている。 故にセンサーが
故障すると本来の機能を喪失するだけでなく、誤検知(Fake Error)によって故障としてメーターパネルにエラーが表示されたり、(下写真の
1,2番目)自動車としての機能を停止させたりすることがある。
更に厄介なのは、これらの障害状況は電子的なログとして制御コンピュータシステム内に格納されるので専用のテスターで調べない限り対応策
を決められないことが挙げられる。 (目視や人間の感覚で分るメカトラブルやライト類の故障のケースは除きます)
そこで諦める必要はありません。 世界には我々アマチュア整備士を対象に簡易型アナライザーを供給しているメーカーが多々あります。
私の場合はOBDU規格インターフェイス(ISO14230で規定された車両用のダイアグポート・インターフェイス)をUSBインターフェイスに
変換してパソコンを簡易テスター(アナライザー)として使うINPAダイアグツールを購入しました。 購入も簡単でeBayで香港の業者から
送料込みでたったの$34.00。 PC側のソフトは然るべきマニア向けサイトから無料ダウンロードしました。
機能的には、エンジン、トランスミッション、ボディ電装品等のエラーログ確認およびリセットやステータスモニタリング、その他コーディングと呼ばれる
各種設定の変更が可能です。 但し、出力される情報を理解する為には「Bentley Service Manual」(英語版)の購入またはダウンロード
が必要です。 マニュアルは英語版ですが、図解が多い上に設定値等の数字が分かり易く書かれていますのでそれ程難解では無いと思います。
PC用のソフトには、車両モデル毎のパラメータ、エラーコード情報が含まれているが、これらは自動車メーカーがユーザー向けに提供しなければ
入手出来ない様な詳細な内容です。 日本の自動車メーカーでも同様に公開しているのだろうか?
OBD: On Board
Diagnostic の略で、現在新車で販売されているトラック・乗用車には備えられている筈である。最近のGPSとかレーダー
検知器にはOBDと連動し、エンジン回転数・油圧等々の情報を表示する製品もある。
さて、eBayから届いたOBDツールにはDVDが添付され、関連するソフトウエアが入っている筈だが・・アレッ・・何も入っていない!
Orz!
早速、販売元にメールを送ってDVDの送付を要求されたが、代わりにSoftware一式をDownLoad出来る様に設定してくれた。 ここまで
の対応はスピーディでとても親切であった。 しかし・・・DownLoadしたSoftwareでは全く動かなかった。。。。Orz!
海外の通販では良くあることだ。 販社はeBayからの評価もあるので一生懸命対応してくれるが、基本的に彼らは知識とスキルが無いのだ。
これ以上、突っ込んでも何も進まない。 そこで、関連するフォーラム・サイトを探し出してメンバー登録をすると・・あるわあるわ、沢山のソフト
ウェア・ダウンロードのURLとマニュアルのURLが!!
何とか適合するソフトをマニュアルと共にダウンロードし、これをWindows
XPのPCにインストールして実車に接続してテスト開始! 緊張の一瞬!
メインメニューの表示は完璧で、個別のパラメータもロード出来た。 しかし、ECU(Engine
Control Unit)とかライト関係のデータは取れたが、
トランスミッションとかエアコンその他のデータが読み込めない。 どうやらインターフェイスが取れていない様だ。 そこで再度フォーラムを調べると
イギリスのフォーラムに役に立ちそうな投稿があった。 それによると、購入したOBD2-USBインターフェイスは新型車用で2本あるデータバス
(D-Bus)の内、一本の接続が他の目的(Ethernet接続)を行う為に切断されているとの事だ。 これを下記写真の様に Wire をJumper
(Pin 7-8)したところ正常にデータを取り込める様になった。(下の写真の左から2,3,4番目)
こんなことをしていると、本当に『世界は一つ』 なんだなー とつくづく思う。 投稿の皆さん、他の人が喜ぶのを自分の喜びとしている人達ばかりだ。
会社員時代にもグローバルな業務に関わっていたこともあるが、会社という共存組織の下では皆さん家族と会社の仲間を大切にし、マナーを
わきまえた良い人達だ。 決定的に異なるのは言語と生活習慣。 これだって、お互いに相手が愛情を持つヒトとして尊重し、完璧でなくとも標準
言語を使い、習慣の違いは出来るだけ歩み寄れば何とかなる。 いけないのは相手の気に入らない習慣・歴史を頑固に否定する態度だ。
理解できなくても相手の立場と背景を理解しようとする姿勢が大切だ。 今の日本対中国、日本対韓国の関係が正にそれを物語っている。
さて、これでセットアップの80%程が終わり、下写真の様にメインメニューからテスト対象機器の選択画面、エラー内容の表示画面(写真はエラー無し)、
エンジン回転数、水温、油温、カムシャフトの進角度、点火時期の進角度、ライトの状態、その他の情報が取得出来る様になった。
まだ、一部のパラメータファイルが入手出来ていないので、完璧ではないが、今後の故障発生時にはし、ディーラーに出すか、D.I.Y.で修理するかの見極めに
大いに効果を発揮すると思う。
通常は車を止めた状態でテストを行ない、画面キャプチャーソフトで表示画面を記録するのだが、トランスミッションやエンジンのスキャンの一部は実際に
車を走らさなければならない。 そんな時はパソコンを助手席シートに置いて実走行することになるが、様々なステータスがビジュアルで確認できるのでとても
面白い。 でも、一般道路での測定は絶対に控えて下さい。 操作をしながら画面を見ながらの走行はとても危険です。
以上
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2015.03.08 追記・
2017.12.06修正
INPAスキャナーのメニュー構造と何を表示出来るのか不明な為、調べて見ました。
下記画面をクリックして Excelを開き、各テストメニューのハイパーリンク(青文字部分)をクリックすると該当のサンプル画面が表示されます。