現在使っている Garmin eTrex Legend Hcx2007年の8月に購入したアウトドア用のハンディGPSだが、自転車でも使い勝手が良いのでその後

6年間に亘りツーリングの際に使用して重宝している。 この機種は自転車専用ではないので、ケイデンスとかハートレートを測定する機能は無いが、日本語

表示であるし、ウェイポイントとかトラックログの管理が容易だ。 最大の利点は電源が単三乾電池2本なので、何処へ行っても電池切れの心配をする必要は

ない。 再充電可能なニッケル水素電池(eneloop)及び通常のアルカリ電池が使えるので予備を持参するかコンビ二で購入すれば良い。

 

そんな便利な製品だが、難点は振動により電源が時々落ちてしまってGPSのトラックログが途中から取れなくなることだ。

原因は複数考えられるが、当初は単三電池と電池ホルダの接点の間で接触不良を起していると判断し、軟らかい銅板を電池とホルダ間に挟んで面圧を上げて

暫く使用していた。 状況はかなり改善されたが、やはり路面の悪い場所で大きな衝撃を受けると電源が落ちることは避けられなかった。 しかしながら、即座に

パワーオンすればトラックログの取得には不都合は発生しなかったので、そんな状態で暫く使っていた。

 

その問題の頻度が今年の千葉⇒新潟ロングライドで顕著になった。 衝撃とは言えないほどの少しの振動で電源が落ちてしまう。 衝撃を避ける為にポケット

に入れてもいつの間にか電源断となってしまう。 気が付いたら数十キロもトラックログが取れていない。 これでは全く使えない。 

暫く考えた後の結論は・・・ネットで傾向的な問題であるか否かを調べた上で既知の対応策があればそれを行い、それでも駄目なら 自転車用専用モデルである 

Edge800Jを購入せざるを得ないとの結論に至った。   尚、この日記は後日に再度分解を行う際のメモとして作成することにしました。

 

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まず、ネットで [Garmin eTrex Legend Hcx電源が落ちる]で検索すると、同様の症例と対策が掲載されている。 内部の写真も掲載されている。

それを見て驚いたのは、電池ホルダとメイン基板を接続しているのは【ワイヤ+コネクタ】ではなくて、単なる爪状のバネ接点がメイン基板上の金メッキされたパターン

に点接触で押し付けられている点だ。 これでは、温度変化とか長期間使用による接触抵抗の増大によって供給電圧が低下しても仕方がない構造だ。

アウトドアで使うにしては情けなさ過ぎる。 ガーミンの使い勝手から想像してもっと合理的な構造と思っていたのだが・・残念な気と失望感を感じてしまった。

良く見ると、USBコネクタとメイン基板間の4本のPin接続も同様だ。 しかし不思議なことにこちらの方が構造はしっかりしていて接触抵抗も少なそうだ。

 

方針が決まった。分解して接点間をワイヤで接続して両端を半田付してしまおう。 代理店に修理依頼をすると 16,800円で交換または修理をしてくれるが、

このトラブルは構造的な問題に起因して発生しているので正攻法では殆ど効果がないのだ。

 

 

(1) まず、ニッケル水素電池を使ったときの消費電流を調べてみる。バックライトが点灯している状態で 約116mAだ。 IC基板で使う細い配線で充分だ。

(2) これは本体裏側と電池ホルダの写真。 電池ホルダの板バネ接点は、外して裏から見たもの。 いかにも接触不良を起しそうな固いバネ接点だ。

(3) 本体保護のゴムベルトを外す。 両面テープの糊がベタベタして汚れも沢山付着しているのでクリーニングをしておかないと後で両面テープがくっつかない。

  

(1)                                   (2)                                             (3)

 

 

(4) ゴムベルトの下の両面テープを注意深く剥がす。 汚れているがこのテープは特殊な形をしているので再利用する必要がある。 

(5) その下にも防水と思われる幅の狭いテープが巻いてある。 こちらは代用品でも良さそうだ。

(6) 周りに付着した糊、汚れをアルコールでふき取った後、合計5箇所の固定用のツメを押し込んで本体を分割する。

   

(4)                                      (5)                                         (6)

 

 

(7) やはり本体内部は小さい部品が表面実装されていて手ごわそうだ。今後の為にコメントを写真に貼り付けた。 正面奥のフラットケーブルは

GPXソフトウェア及びトラックログ等のデータが格納されるマイクロSDカードのインターフェイスだ。 ファームウェアは基板上のフラッシュROM

に格納されている。 ここまでは定石通りの構造だ。 驚くのは上蓋の電池ホルダから出ている電池+、電池−のバネ接点だ。

金メッキされていないし、点接触の単なる板バネだ。 パーツも表面実装された細かい物だらけで改造することに少々気後れしてしまう。

右側のUSB接点4個は金メッキされ、面圧もかかる様なしっかりした構造だ。 GPS動作中は一般に使用しないので、まあ良しとしよう。

 

(8) 部品が小さくワイヤを素手で押さえながらハンダ付けするのは無理なので、テープ類を使ってワイヤを定位置に固定する。 このワイヤはIC基板

配線用のテフロン被服された撚り線だ。 (単線では金属疲労で断線する確率が高い)

 

(9) ハンダこて先をクリーニングして余分なハンダカスを除去するのは大切なことだ。 左手に糸ハンダを持ち、右手でハンダこてを持って注意深く

ハンダ付け作業を行う。 最悪、修理依頼をすることがあるかも知れないので、今回はツメ接点を残しながら補助的にワイヤに電流が流れる様に

改造を行うことにする。 熱しすぎず、ハンダの範囲を極力狭くする必要がある。 緊張するなー。

  

(7)                                    (8)                                         (9)

 

 

(10)プラス側のパターンにワイヤをハンダ付けする。 裏から見るとちゃんと半田が流れていて正常に付いている様に見える。

(11) 同様にテープ類で養生/固定しながら全部のポイント(4箇所)にハンダ付けを行う。 神経と目が疲れます。

(12)ハンダ付けしたワイヤを接着剤で周辺に固定する。 これも振動による断線対策です。

  

(10)                                     (11)                                         (12)

 

 

(13)おや?上の面がキチンと締まらない。 良く見ると上下のケースを固定するツメが一箇所折れていた。 どうやら分割する時に使ったドライバー

が細すぎてツメを切り落としてしまった様だ。

(14)両面テープを一周ぐるりと巻いてケースの固定と防水対策を行う。 

(15) ケースのスキマも多分これで大丈夫でしょう。 

  

(13)                                      (14)                                         (15)

 

 

(16)先の(4)で剥がした特殊形をした両面テープを注意深く貼り付ける。 接着力が弱くなっているので、この上に更に両面テープを貼り付ける。

(17)同様に(3)で外したゴムバンドをスイッチの位置に合わせて巻きつける。 スイッチ部分の丸穴上に貼り付けた両面テープをナイフでカットします。

(18) 完成です。 基本的な動作と、USB接続がOKであることを確認! これで様子を暫く見ることにします。

   

(16)                                      (17)                                         (18)

 

 

(19) 今回の作業で威力を発揮したのがこれ。 元々眼力が弱くなっているが、特に今回の様な超細かい作業には必須のツールです。

(20) ハンダ付けしたワイヤを基板に固定するのに使用した接着剤はこれ。 殆どの材料に使えます。 プラスチックにも有効です。

(21) これは自作版のマウント金具。 オリジナルに比べると衝撃のGのトンガリを少しだけ滑らかにすることを期待して作ってみました。

  

(19)                                     (20)                                         (21)

 

 

本日現在でまだ自転車では使っていません。 電池と電池ホルダ間の接触不良の問題は根本的に解決されていませんが、あとは神頼みです。 

レポートは後日掲載します。

 

 

79日追加】

このGPSを購入したパソコンGPSショップFAQに「電池カバーの裏側に電池が動かないようにスポンジまたはゴム板を張ると効果がある」との記載

があったので念の為、写真の通り対策を追加した。

DSC01756

その後、ロードバイクに自作版マウント金具と共に改造後のGPSを取り付けて、段差とか衝撃のある道路を選んで10Km程度テストランしてみた。

結果は一度も電源遮断が発生しなかった。 改造前であれば舗装の荒い道を数十メートルも走れば電源が落ちたので、一定の効果が得られたと

判断して良いだろう。  あとは実際のツーリングでどうなるかだ。

 

714日追加】

昨日、北さん復帰祝賀ツーリングで丹原林道ー音信山林道ー万田野林道ー月崎駅ー養老渓谷・粟又の滝まで往復125Km程走行したが

電源の遮断は一度もなかった。 特に林道部分は舗装率100%であるが、段差もあり路面も余り良くなかったので、今回の対策が有効であった

ことが証明された。 やはり、圧接型のスプリング接点はアウトドアスポーツには適さない様だ。 

 

以上