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長年同じ家に住んでいると年月の経過と共に元々ある住宅設備が老朽化してくる。 老朽化とは物理的に傷みがひどくなって交換が必要なこと、

そしてライフスタイルの変化や時代の流れの変化との乖離度合いが大きくなることを指すと考えます。

我が家も風呂場とキッチン等の水周りに老朽化が進み、水漏れが原因の土台の腐食、壁のひび割れ、こびり付いて落ちない汚れやくすみ等々の

クレームが家内から私に上がって来た。

私から見ると水漏れの原因となる部分の交換や腐食部分の修理や壁パネルの交換等を行なえば、まだまだ充分使えるレベルと思うのだが、やはり

家事の主役である主婦から見れば新しくて便利な最新モデルに憧れる気持ちも無視できない。

「中略」

そんなわけで、風呂場と台所のリフォームを行なうことにした。 各々の内容は別途「ときどき日記」に掲載済みだが、今回はそれぞれに許容できない

トラブルがあったので、日記として残すことにします。 私は決してクレーマーではありません。 単に完成後の様子を見て気付いたことなので、同じ様な

問題を気付いていないリフォーム工事経験者も沢山いるのではないかと思います。

 

1.     風呂場の外壁とユニットバスの間に断熱材が全く入っていなかった。

ユニットバスをTOTO製の魔法瓶浴槽に入れ替えたのは真夏の7月末。 暑くて熱中症を心配する毎日であった。 工事を行なう大工さんや

ユニットバスの設置業者はそれこそ汗だくで一所懸命工事をしてくれた。  そして・・・完成後のユニットバスは快適で清潔で使い易かった。

お金をかけても早くリフォームをすれば良かったと思う日々でした。

しかし、そろそろ気温が下がる11月に入ると、何故か洗い場が寒い感じがする。 特に外壁に面した壁を触ると他の壁よりも冷たい感じ。

結露も多い様だ。

 

(1) そこでユニットバスの点検口から天井部分を覗いてみる。 あれっ! 天井に断熱材が入っていない。

 

(2)ユニットバスと外壁の間を上から覗いてみる。 狭いので iPhoneと懐中電灯で苦労して写真を撮る。 あれっ!ここも断熱材がない。

  これでは冷えた外壁に隙間の空気が冷やされ、その空気がユニットバスの壁(鉄板に樹脂加工で断熱効果は無い)を冷やすので浴室

  全体が冷えてしまう。

写真左側の円は以前の換気口の跡。 リフォーム前は外壁―断熱材―防火壁(石膏ボード)―ユニットバスの構造で断熱効果は悪くなかった。

 

(3)隣のトイレの壁との隙間も同様に覗いてみると、ここも断熱材が無い。

 

  

(1)                                                    (2)                                                (3)

 

 

(4) 全体に断熱材が施工されていないことが分かった。 これでは冷たい空気がユニットバス全体の周りを還流して冷やしてしまうではないか!

 

(5)この写真はユニットバス施工前の壁の内側部分。 外壁側の耐力べニヤに防水シートを張り、その上にスタッコ仕上げ(消石灰と大理石の

  粒をセメント状にして吹きつけた工法)を施したもので防火効果はあるが断熱効果はありません。 従って、元々は室内側に断熱材が施工

され、更に石膏ボードを貼って断熱効果と防火性能を維持していました。 写真はリフォーム工事の為にこれらを撤去した状態のものです。 

この写真を撮影した時点では当然断熱材を入れるものと信じていたので何も口出しはしませんでした。(反省ポイント)

 

(6)出来上がったユニットバスの内側。 とても綺麗に出来ました。 でもこの壁の裏側の状態など知る由もありませんでした。

 

  

(4)                                                      (5)                                   (6)

 

 

(7)そこでリフォームを行なった業者の営業に電話をする。 あくまでクレーム調ではなく「何か寒いんだけど」と尋ねる。

  そして「写真を撮ったのだけど断熱材が入っていない様だけどこれで良いの?」と言ったとたんに、菓子折りを持って飛んできた。

  写真はリフォーム業者が持って来たファイバースコープです。 これは私も欲しい逸品です。

 

(8)そして大工さんが断熱マットと、断熱効果のあるウレタンフォームのスプレーを数本持ってきた。 これも便利そうだ。

 

(9)ユニットバスの施工後は断熱マットを隙間に入れることは非常に難しいそうだ。 従って可能な限り断熱マットを使用するが

  不可能な部分はウレタンフォームを流し込む方法を取るとのことでした。 写真はその様子。

  なかなか良い様だが、電気配線と風呂の配管部分まで覆うとマズイので注意深く流し込みます。

 

  

(7)                                                   (8)                                           (9)

 

 

(10)外壁の点検口、そして以前の換気口からも断熱材を入れカバーを付けて作業終了。 しかし窓の下と配管部分は対策が出来

なかったので全体の50%程度しか断熱対策は出来なかった。 勿論、ユニットバスを分解して断熱材を入れるのがベストですが、

他の弊害が発生する可能性が大なので、これで渋々納得してしまいました。

 

                              (10)

 

ユニットバスリフォームの様子は85日のときどき日記で紹介しています。

 

 

2.     恐怖! 台所のリフォーム後、壁裏の電気配線が焦げて断線していた。

 

台所のリフォームは少し遅れて10月末から開始し、11月初めに終了しました。 お風呂と同じ業者との契約です。(この時点では断熱材が無いこ

とは気付いていませんでした) 完成後は快適で毎日炊事に明け暮れる家内も大喜びです。

この様子も1114日のときどき日記」に書き留めました。 しかし・・・台所は良いのですが、壁の裏側にあるクロークの照明壁スイッチに付いている

パイロットランプが点灯しません。 クローク内の照明は正常に点灯するので偶然にパイロットランプが切れたのか、配線が接触不良になったのかと思い、

それ程気にしていませんでした。 まあ、気付くのが遅かったこともありますけど。

少し、時間が空いたこともあって121()にクローク室内側の壁材を外して照明関係の配線を確認したところ・・・唖然としました。

 

 

(11)クローク側の壁を外して照明の配線結合部分を確認します。 一見異常がありませんが念の為、テスターで断線の確認をしたところ、パイロットランプ

を点灯させる為の電線(W線・・感電しない方の線)が明らかに切れています。 パイロットランプは悪くありません。 通常、途中の断線はあり得ません。

 

(12)とにかく断線箇所を調べる為に配線の被覆を剥がして調べます。 配線は屋内配線用の 1.6mm VVF2重被覆の規格品です。

あれっ! 内側の被覆が黒くなっています。 焼けたのではなくて煤が付いて白、赤、黒の線が全体的に黒くなっています。 胸騒ぎがします。

 

(13)この配線はツーバイフォーの柱に穴を開けて分岐結線部とパイロットランプ付きの壁スイッチを結んでいます。

 

  

(11)                                              (12)                                              (13)

 

 

 (14)断線箇所を調べる為にこの線を穴から抜こうと引っ張ってもビクとも動きません。 そこで調べてみたら何と!!!! 電線に尖がった木ネジが

   刺さっています。 

 

 (15)危険なのでこの配線の電源供給側をペンチでカットしてから、苦労して線を引き抜くと・・・明らかに電線に木ネジが貫通した痕跡があります。

    全て自分で修理しようと思っていたのですが、ここまで見ると黙ってはいられません。 明らかに台所リフォームで天袋を取り付けた際の工事ミス

    です。  何でこんな目に会わなくては・・・何か情けなくなります。 リフォーム業者に「すぐに来て実態を確認しろ!」と連絡しました。

 

(16)やはり、突き刺さった部分の中の配線が黒く焼け焦げています。 一番上が活線(100Vの交流で感電します。)でかなり溶けていますが

まだ導通があります(故にクロークの照明が点灯していたのです)。 真中が接地側で白い線ですが真っ黒で完全に断線しています。 

一番下がスイッチをオンにした際に活線となる赤被覆の線です。 

ゾッとしました。 ねじ込んだ木ネジが 接地線()と活線()線の両方を短絡させて火を噴き、白線を一瞬で断線させると共に被覆線を煤で

真っ黒にしてしまったのです。 私は知りませんでしたが、多分ブレーカーが飛ばなかったと思います。 後からじっくりと細かいショートを発生させて

最悪火事になりえるケースです。

 

  

(14)                                                     (15)                                           (16)

 

 

 (17)線を抜いた後の柱の穴に尖った木ネジの先が2本刺さっています。 拡大すると奥側のネジの頭が溶けて先が黒くなっています。

 

 (18)台所を表から見るとこんな感じで平穏で綺麗です。 楽屋裏であんなに恐ろしいことが起きているなんて全くわかりません。

 

(19)工事中に壁を剥がした際の写真です。 この部分はブレーカーパネルに近いので家中の電気配線が集中しています。

今回は赤丸部分に天袋固定ネジを打ち込んだことが分かります。 ここまで配線が見えていたのに何故こんな事故が発生したのでしょうか?

 

  

(17)                                                        (18)                                           (19)

 

 

(20)通常、リフォームの際に解体と下ごしらえは大工さんが行ないます。 彼らの職務はキッチンセットメーカー指定の工事業者が遅滞無く作業

   が出来る様に内壁や電気配線、配管を準備することです。  「下に配線があるから注意」とマークしてくれれば良いのですが、仲介するリフォーム

元受業者はそこまで作業仕様として大工さんに発注しているとは思えません。

 

(21)このネジは壁裏の他の部分に飛び出したものです。 これは構造体の芯に入っていませんが耐力壁にはしっかりと差さっています。

 

(22)ようやく リフォーム業者の監督と電気屋さんが到着。 配線を別ルートで引き直して一件落着です。  勿論、強烈にクレームを申し入れ

ましたが実害が無かったのでそれ以上の要求は諦めました。 再度、別問題が発生するのが嫌だったからです。

   作業後にリフォーム業者の監督にサービス業者としてのあるべき姿勢を延々と説教し、燃えて切断した配線を教育資料として渡しました。

      

  

(20)                                                        (21)                                           (22)

 

 

さて、風呂場の断熱材、キッチンリフォームの配線貫通事故に共通する問題点は何でしょうか?

まともに考えると原因と思われる要素は沢山あります。でもその対策を考えても全てがその通りにはならないのです。 そう、リフォームはギャンブルです。

一番の原因はリフォーム元受業者の担当者の経験不足、そして管理が出来ていないことです。

風呂場の断熱材の件は、誰がいつ断熱材を入れるのか業者任せでした。 大工さんはTOTOの業者が行なうと思い込み、TOTOの設置業者は

粛々と自分達のミッションをこなすだけで「断熱材があろうが無かろうが自分達の仕事ではない」と言った感じです。 彼らの設置仕様には断熱材は

含まれていなかったのでしょう。 私も断熱材がどちらの責任範囲であるか分らないので聞くこともしませんでした。 普通はそんなこと聞きません。

でも最終的に施工したTOTOの業者には「断熱材が施工されていないのですが宜しいんですか?」と、ひとこと言って欲しかった思いは強くあります。 

このリフォーム元受業者はガス湯沸かし器の設置業者にもスケジュールの詳細を伝えていませんでした。 業者が私に聞いて来て困った程です。

 

台所の電線短絡事故は最初から最後まで一人の大工さんが担当していれば、こんなことは発生しなかったと思います。 然し現在のキッチンセットや

ユニットバスの設置作業は高度な専門技能が要求されていて、分業が多い状態です。

やはり、中間に立つリフォーム元受業者が、キチンとした設置仕様を決めていて、途中で業者が変わっても一貫したレベルの管理をしなければなりません。

それでも監督者が現場の仕事全て見ている訳では無く、現場の作業員の感性と注意力と腕に左右されます。だからリフォームはギャンブルと強く感じました。

今回の元受業者はテレビでもお馴染みのリフォーム・建築業者で、私の住むツーバイフォー住宅の草分けで経験も多い筈です。 

営業も監督も大工さんも客先に対する態度は悪くありません。 逃げません。 一所懸命やっている様に見えます。 

でも現場管理者のスキルが足りないと言わざるを得ません。 単なるサラリーマンなのでしょうか? 普通は自分の経験や会社の先輩から学んだスキル

が身に付く筈です。 しかし、そんなことは契約時にはわかりません。 もう、壁紙以外のリフォームはやりたくありません。

     

 

以上