(下のサムネール画像をクリックすると拡大します)
1年前にフロントハブのグリースアップを行なってから約5600Km走行しました。使ったグリースは回転性能の良いフィニッシラインの
セラミックグリースですが難点は耐久性。 最近になって走行中に何となく唸る様な感じがして来たのでオーバーホールを行なうことに
しました。 作業は簡単なので道具とマニュアルさえあれば30分程度で終了します。
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(1) まず、シマノのパーツマニュアルを眺めて、部品の組み方や位置、ワッシャーの位置や向きをしっかりと頭に入れます。 でも作業中も
傍に置いてしっかり見て下さい。
(2) 必要なツールや油脂をトレイに並べます。 ダイソーで買ったこのトレイはとても便利です。 我が家では自転車や車の整備以外に
工作用や台所用に結構沢山使っています。 ハブスパナは
WH-7801の場合15mmが2枚、 17mを一枚使います。
茶こしと磁石はベアリングの洗浄、虫眼鏡はカップアンドコーンの玉当り(軸受け)のキズ等の状態を確認する際に使っています。
最近手放せないのがScott Ragsのペーパータオル。 ホムセンや工具屋さんで売っていますが結構強力でチェーンの清掃にも活躍
しています。 あと・・オレンジ色の柄で鉄部が錆びた小型ドライバー。 昔のミシン用ですがとても便利な大きさだし、材質が良いので
手放せません。 同じ様な形状のものは売っていないので、もう何十年も愛用しています。
(3) ホイールのクイックリリース
シャフトを抜いた後、ハブキャップを矢印の方向に廻して外します。
(今後、回転は反時計方向またはCCW、および時計方向またはCWと呼びます)。
(1)
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(4) ハブキャップを外すとベアリングカバーとハブシャフトのロックナットが現われます。 ロックナットは2個のダブルナット方式です。
(5) 15mmのハブスパナでロックナットを緩めます。
(6) 小さいドライバーを使って樹脂製のダストカバーを外します。 しかし砂が沢山付いていますね。 これらがベアリングの中に入ったら
大変です。
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(7) カップアンドコーン軸受けのコーン側ナットが全貌を現しました。 更にこのコーンナットを外します。
(8) ベアリングが現われました。 コーンナットでベアリングを押さえつけている仕組みが分ると思います。
(9) そのままシャフトを下に引っ張ると抜けますので、キャップ、ダストカバー、ナット類を実装されていた順番でトレイの上に並べておきます。
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(8)
(9)
(10)ベアリングの状況は少し軟らかいグリースに覆われていて”まあまあ”です。 これが乾いていたら大変です。 グリースの色が黒いのは
金属同士がこすれれば当たり前。 私は気にしません。
(11)内部を傷つけない様に注意深くインナーダストキャップ(O-Ring)を外します。
(12)ベアリングも外してカップ部(玉受け)にキズが無いか虫眼鏡で注意深く確認します。(虫眼鏡は必要に応じて使います)
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(11)
(12)
(13)コーンナット部の玉当りの部分のキズやスジを確認します。写真は光線の関係でスジの様に見えますが実際はOKでした。
(14)茶漉しにベアリングを入れて洗浄します。
スプレーの勢いでベアリング球が飛び出さないように注意します。
(15)ペーパータオルでベアリングとリテーナーの汚れを良く拭き取ります。 小さい磁石をそばに置いておくと安心です。
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(16)リテーナーにグリースを塗りこみ、ベアリング球を押し込みます。 (左右各1セット) 今回もセラミックグリースを使いました。
(17)ハブのカップ側にもセラミックグリースをたっぷりと塗りこみます。
(18)ベアリングボールを押し込んだリテーナーをカップにセットし、更にセラミックグリースを塗りこみます。
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(17)
(18)
(19)リテーナー固定用のO-Ringとダストキャップをセットし、シャフトをセットします。 この後、ダブルナットで玉当りを調整すれば作業
は終了です。
(20)玉当りの調整ですが、当然きつすぎてはいけません。 多少ガタがある程度が一番軽く廻りますが、ガタが無い様に調整します。
カップアンドコーンの場合、固定してあるシャフト側に付いているコーンの下部は回転しないので、ガタの為に360度均等に力が
分散しない場合、下図の様にカップ側の同じ場所へベアリングボールが回転しながら下方へ強くこすり付ける攻撃をします。
一方、カップ側(スポークが付いている側)は回転しているので360度均等に力が分散されています。 理想的には全てのベア
リングボールとカップ側とコーン側の玉当りに加わる力が常に均等であれば下方への力が全体に分散されるのでコーン側の軸受け
の寿命が伸びるだけでなく、ベアリングボールの横ブレ走行が無くなって全体の摩擦傾向が低下します。
デモ等でホイールを空転させて長く廻るとアピールしていますが、これはHUBの精密度をアピールする目安にはなりますが、負荷
がかかった実際の走行環境との力学とは全く異なると思います。
玉当りを少しガタが出る様に調整し、グリースを付けずに軟らかいオイルを薄く塗布した方が無負荷での空転性能は確実にアップ
しますので。
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(21)さて、ここで再度Scott Ragsの登場です。 グリースが付いたハブボディや車体をこれで拭き取ります。
その他、車体の汚れも拭き取ります。
(22)残った部分でチェーンのクリーニングをしても破けません。 汚れたらポイッと捨てる。 ウエスよりも遥かに使いやすいです。
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(22)
★★★★ やはりセラミックグリースは短命ですね。 デュラエースグリースと比べるとかなり早く乾いてしまう様です★★★★
★★★★ レースに出る訳では無いのでこれからはデュラエースグリースを使おうと思います。
★★★★
以上