(下のサムネール画像をクリックすると拡大します)
朝からマイカーの後輪ブレーキパッドを交換するつもりで、ジャッキアップしたところ何と途中までしか上がらない!!
ガレージ・ジャッキのレバーをポンピング(ポンプレバーを上下する)しても途中からスカスカで全く力が伝わらないのだ。 おまけにポンプ側の
ピストンからオイルがジワジワと滲み出している。 これではブレーキの交換作業が出来ない。
少々悩んだ後に、とにかくガレージ・ジャッキの状態を調べて見ることにした。
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(1) ここまでしかジャッキアップ出来ません。 ポンプのレバーがスカスカでポンプからメインシリンダーへオイルが供給出来ていない様です。
更に、一度アップしても時間と共に少しずつ下がって来てしまいます。 危ない危ない! 中に泡でも発生しているのでしょうか?
この高さでは車体の下にリジッドラック(ウマ)を入れることが出来ません。
作業時にはジャッキではなくてリジッドラックで車を支えるのです。
このジャッキの動作原理はシンプルです。 オイルを小さい直径の手押しポンプ側シリンダから大きな直径のリフトアップ側シリンダーに送り
込んで、大小のシリンダ面積比に比例した大きな力を得る一般的な油圧システムと全く同じです。
(2) このジャッキを購入したのが1992年。 最大2トンを持ち上げることが出来る仕様になっています。 台湾製ですが販売会社は日本企業
で作りは結構しっかりとしています。 既に22年も経過しているので販売もサポートも終了しています。 新品を購入しても良いのですが、
こんな重いものを廃棄処分するのも面倒なので、修理が簡単に出来るのであればブレーキパッド交換の前にこちらを修理することにしました。
(3) 説明書は紛失していますが、ある程度の情報はジャッキ本体に記載されています。 ネットで調べると『手押しポンプ側のシリンダに
はめ
込んでいるゴム製O-Ringが経年変化で劣化すると、ピストンとシリンダの間からオイルが漏れたり、圧力が上がらなくなってしまう。
オイル漏れが進むと最終的にはオイルの絶対量が不足してリフトアップ側シリンダーを最後まで押し切れなくなってジャッキが上がらなくなる。』
そうです。 状況的にこの記事と一致するので、O-Ringを交換してオイルを補充(全交換)すれば良い様です。
(1) (2)
(3)
(4) ガレージ・ジャッキのポンプレバーを外すとピストンが現われます。 レバーを上下するとこのピストンが上下してオイルを送り出す仕組みです。
やはり、相当の量のオイルが溢れ出ています。
(5) ピストンを抜くとシリンダの内側の溝にゴム製のO-Ringがはめ込まれているのが見えます。 これを外して交換しなければなりません。
(6) O-Ringを外す為にシリンダを外して作業することにしました。 この写真の方がO-Ringの部分が良く見えます。
(4)
(5)
(6)
(7) とにかくO-Ringとジャッキ用のオイルを調達しなければなりません。 O-Ringを購入する前にピストンの外径を測定したところ11mmでした。
(8) 10時になってから近くのロイヤルホームセンターに飛び込み、ジャッキオイル(10番)とゴム製のO-Ringを探したところ、水道パーツ売り場で
ピッタリサイズのO-Ringを発見。 ラッキーと思いきや、残念なことに
これは水道用で、耐油製が良くありません。 油圧機器に使用すると
ゴムの劣化が急速に進んでしまいますが、今日は緊急なのでこれでも使わざるを得ません。 ジャッキ用オイルは簡単に見付かりました。
(9) O-Ringは11番(内径:10.8mm、太さ:2.4mm)です。 参考に袋の写真を残しておくことにしました。 ネットで正しいパーツを探し出して、
購入するつもりです。
(7)
(8) (9)
(10)シリンダと、O-Ringの写真を残しておきます。 上のO-Ringは元々付いていたもの。 下が今回調達したものです。
(11) O-Ringをシリンダに はめ込むには少々工夫が必要でした。 シリンダ内側のO-Ring固定溝のギリギリの位置まで下からピストンを
差し込みます。 その位置で上からO-Ringを押し込んだところ、捩れながら正規の位置までO-Ringが入り込んで、溝にうまく収まりました。
(12) よごれが多くて汚らしいですが、シリンダを外した際の本体側の写真です。 穴の底に見えるのが吸入/排出バルブへの通路と思います。
(10)
(11)
(12)
(13) ジャッキ本体にシリンダ、ピストン、そしてポンピングレバーを取り付けます。 少々お掃除もしておきます。
(14) メインシリンダの中のオイルを一度全部抜いてから、新しい#10ジャッキオイルを入れます。 注入口の下 1cm位までオイルを入れた後に
リリースバルブを緩めてポンピングを行なうと”ゴボゴボ”と音がしてエア抜きが終了します。 注入したオイル量は120c.c.位かな?
(15) 完成しました。 ジャッキアップのテストをしたところ、凛々しく直立しました。( ̄∇ ̄=) この位上がればリジッドラック(ウマ)を車体の下に
入れることが出来ます。
(13)
(14)
(15)
(16) 実際に車の下に入れてジャッキアップしてみました。 先程とは比べ物にならない程、しっかりと持ち上げてくれました。
オイルも漏れていません。 これでリアブレーキパッドの交換作業を開始出来ます。
(16)
★★★★ ガレージ・ジャッキ用のオイルは #10を使うこと。 #32はダルマジャッキや工作機械用です。 ★★★★
★★★★ ジャッキでリフトアップしてから車の下に入ると危険です。 今回のケースと同様に徐々に下がって
★★★★
★★★★ 怪我をするかもしれません。(怪我で済めばラッキー) 必ずリジッドラック(ウマ)を左右ペアで使用して下さい。
★★★★
★★★★ 最後に、ガレージ・ジャッキはリフトアップすると前に動きますので、必ず水平で下がコンクリート等の固い床の ★★★★
★★★★ 上で使って下さい。 ジャッキ本体と車の両方が固定されていると、ポンピング中にアーム先端のお皿が車の ★★★★
★★★★ ジャッキポイントから外れてしまって大変危険です。 床が凸凹でガレージ・ジャッキが前に動けない場合は ★★★★
★★★★ 車のパーキングブレーキを外してギアはニュートラル位置にセットしてからポンピングすること。
★★★★
★★★★ ポンピングが完了(ジャッキアップ完了)したら、パーキングブレーキや車止めを併用して車を固定すること。 ★★★★
【11月26日失敗記】
あーやっちまった!ポンピング中にジャッキの先のお皿と車体の間に入れたゴムが破断して、エンジン下のジャッキアップ・ポイントからジャッキが
外れてしまいました。 幸い、クロスメンバの端の鉄板が少し曲がっただけで事なきを得ました。
原因は写真(17)と(18)のゴムの角が1トン近い圧力に負けて湾曲し、ジャッキのお皿から外れ、その際に破断したと思います。
このゴムはかなりの硬度があったし、下部が丸くなっているのでジャッキのお皿部分にスッポリと収まり安定感は十分でした。更に左側の丸い
平型ゴムも併用しました。 しかし、そこはホームセンターで売っている一般向けのゴム、強い圧力が集中するとあっけなく変形してしまう様です。
大きな荷重がかかる場合はゴムを使ってはいけないそうです。 どうしても車を傷めたくないのであれば、繊維が織り込まれている薄いジャッキ
専用ゴムを使うべし。・・・反省! いつも反省と勉強ばかりで成長がありません。
この時はリジッドラックを入れる為のポンピング中でしたが、もしジャッキだけで車の下にもぐりこんでいたと思うとゾッとします。
ネットを調べたら
ガレージジャッキの正しい使い方がYouTubeに掲載されていました。https://www.youtube.com/watch?v=cwYte4745zg
(17)
(18)