(下のサムネール画像をクリックすると拡大します)

 

DIYで細かなモディファイや修理を続けて来た愛車が来年1月で15歳を迎えることとなり、税金や整備等の維持費も膨らむ懸念がある

ことから廃車の予定であった。 しかし、車齢の割にはまだまだ外観は綺麗だし、調子も悪くない。 車自体も喉から手が出る程欲しくなって

無理して購入したので、自分の愛着心も強い。 廃車までの時間が迫って来ると、やっぱり捨てるのは惜しくなってあと2年間使うことにした。

車検を取る為にディーラーで事前点検を行なったところ、他の部分と共にフロント コントロールブッシュ (ロアコンブッシュ)にガタがあるので交換した

方が良いと見積書に記載があった。 ロアコンブッシュ交換費用は53,400円とのことでした。 (M10強化ボルト8本分3,800円を含む)

ロアコンブッシュはハンドリングを安定させる為のゴム製のダンパーですがBMW E46では消耗部品と考えられていて、この車でも22,875Km

の点検時に交換しています。 それだけにDIY交換する人も多くて、ネットを調べると修理事例が沢山掲載されています。

よし! 純正部品よりも強化された社外部品を使って自分で交換しよう。 

 

++++作業を開始します++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

 

(1)  例によって作業前に必要なパーツとツールを準備します。 今回の作業で特別なものは 1/2”底径の16mmソケットレンチとブッシングを

抜き差しする為の専用ツール(SST), そして緩み止めのロックタイト液かな?

今日は「チカラワザ」が多いのでソケットレンチも頑丈な1/2”底径のものが多いし、レンチの延長パイプも必要。 それに、車体の下に潜り込む

時間が長いので、リジッドラック(ウマ)、ガレージ・ジャッキその他の安全対策が必要です。 

安全メガネ、安全靴、そしてツナギ服を着ると、格好だけでもうプロの自動車整備士の様な気分になって使命感?が モリモリと涌いて来ます。

 

(2) ガレージ・ジャッキをエンジン下のジャッキアップポイントにセットしてから、車体を持ち上げます。 次に車体の左右にある指定ジャッキポイント

左右をリジッドラック(ウマ)で支え、更に外したタイヤも車体下に置きます。 

今日は60Nm以上の力でスクリューを緩めたり締めたりするので、更にガレージ・ジャッキでフロント・クロスメンバを支えることにしました。

狭い車体下で思い切りネジを回した時にリジッドラックが外れたら・・・恐ろしいことです。 安全対策は何重にも行なうことにしました。

写真の矢印で示したアルミダイキャスト製のアーム(左右)Lower Control Armです。 一般的にはロアアームとも呼びます。

前輪の水平方向の剛性を司る重要部品でハンドリングやブレーキングに大きな影響を与える部分です。

 

(3) 右側ロアアームの先にロアコンブッシュが見えます。 ヘッドが特殊な16mm M10強化スクリュー2本で固定されています。

今回はこのダイキャストフレームで固定されているゴムダンパーがへたっているので、アッセンブリーで交換します。

手前の黒い丸棒はTubular front end reinforcementと呼ばれる補強バーです。 これも外さないと作業が進みません。

 

  

(1)                                                     (2)                                               (3)

 

 

(4) こちらは左側の写真です。 Tubular front end reinforcementを固定しているスクリューも同じものを使っていますが、挿入角度

が斜めになっているので、ヘッドにソケットレンチを差し込む際には注意が必要です。 さもないとヘッドの角をなめてしまいます。

 

(5) これが新品の左側ロアコンブッシュです。 黒いゴムの中にはオイルが封入されていてダンパーの役割をしているそうです。

このダンピング性能が弱くなるとステアリングが安定しなくなったり、コーナリングのフィーリングが悪くなったりするそうです。

 

(6) パーツ、工具リストと構造図を確認しながら作業を進めます。 特に”L”と書いてある寸法はロアコンブッシュを差し込む際の位置を

決める重要な要素です。 念の為にロアコンブッシュを外す際にマジックインキで位置をマークしておきます。

  

(4)                                                  (5)                                    (6)

 

 

(7) ロアコンブッシュには新旧で2タイプのサイズがあります。 この違いにより先の”L”の長さが僅か2mmの差ですが指定されています。

今回の場合は 66mmなので L=290.9±1mmとなります。

しかし・・これは元々滑りが発生するダンパーゴムとダイキャスト棒間の固定位置なので、こんなに細かく指定しても実際にロアコンブッシュ

をスクリューで固定した際に(最適な位置)に自然に移動してしまいます。 何故こんな細かく指定したのでしょうか? 

 

(8) さて、黒い棒(Tubular front end reinforcement)を完全に外し、次にロアコンブッシュの16mmヘッドのスクリューを外します。

かなり強く締まっています。 車体の下で思い切り力を入れてネジを回すのは少々恐怖を感じます。 今回はしっかりと養生していますが、

やはりリジッドラックやウマが外れたらとおもうと本当に怖いです。 やっぱり床下に整備用の堀のあるガレージが欲しいです。

 

(9) 左側ロアコンブッシュが外れました。 これをアームから抜くのですが、その前に位置をマークしておきます。

ロアコンブッシュ自体の位置決めも厳格で、写真の裏には位置決めスリーブが付いたネジ穴が見えます。 取り付ける際には、この

スリーブを潰さないように正確な位置にセットしなければなりません。(気にして作業すると、確認が大変でした)

 

  

(7)                                                 (8)                                                   (9)

 

 

(10)     写真(9)のロアコンブッシュはしっかりと挿入されていて、とても腕力では抜けませんし、新品を挿入できません。 本来は専用のツールを

使うのですがとても高価だし、一回しか使いませんので、ネット(みんからTool Review)に投稿されていたアマチュア向けのDIYツールを

参考にさせて戴きました。 費用1000円と書いてありましたが、私の場合は残物利用をしたので600円以下で済みました。 

初めに考えた方は試行錯誤をした様ですが、私はお陰さまでスンナリと作業を進めることが出来ました。 本当に助かりました。 感謝!

 

(11)     ツールはこの様にセットして、2枚の羽根でロアコンブッシュを押し出します。 しかし、この作業は大変でした。 ナットをスパナでバランス良く

回して5cm程移動させなければなりません。 ナットは手で廻る程軽くは廻りませんでした。

 

(12)     ようやくロアコンブッシュが外れました。 新品と比べて見ましたが、見た感じは変わりません。 (7)で規定しているサイズも全く同じです。

但し、中央の穴に指を入れてゆすってみると確かに古いほうはグニャリと動き、新品は全く動きませんでした。 実装時は車の重さが掛かるので

この動きはもっと大きいと思います。

 

  

(10)                                            (11)                                                   (12)

 

 

(13)     新品をロアアームに挿入する前に、すべりを良くする為の液体洗剤を塗りこみます。 これはかなり効果的です。

別件ですが、自転車のグリップを差し込む時も同様に液体洗剤を使うと作業が楽です。

 

(14)     自作ツールを使って、今度はロアコンブッシュを手前に引っ張ります。 挿入する方がボルトにアクセスしやすいので作業が楽です。

 

(15)     ロアコンブッシュを正しい位置に持って来るのが大変です。 ロアアームの位置と今回の挿入位置のバランスが良くないとネジが入り

ません。 ゴムを撒いたドライバの先をロアコンブッシュの穴と車体のネジ穴に差し込んで無理矢理にネジ穴を合わせます。 

この際には車体側のネジ穴にキズを付けない様に注意して下さい。 この方法では抜くときにマークした元々の挿入位置から

ずれてしまう様ですが仕方がありません。 ネジが入る位置がこのロアコンブッシュ個体の正しい位置と思います。

スクリューは必ず専用の強化型新品ネジを使用して下さい。今回は、ロアコンブッシュに付属していましたが、ディーラーで購入する

1500円弱します。 最後に 59Nm+αで左右バランス良くしっかりと締め付けます。 

 

  

(13)                                                  (14)                                                   (15)

 

 

(16)     左側ロアコンブッシュを取り付けた後、底面が車体に隙間無く密着しているか確認します。 車体側の位置決めスリーブを潰して

ネジを締めていないか不安な気がします。 この場合は間違いなくセーフです。

ロアコンブッシュを抜く際にアーム側にマークをしましたが、今度は大分外側に移動している様です。 でも、これが機械的に安定した

位置だと思うので一度走行試験を行なってから再確認することにします。

 

(17)     同様に右側(運転席側)のロアコンブッシュの取り付け状態を確認します。  どうやらOKの様です。

あとは黒い棒(Tubular front end reinforcement)4本のスクリューで固定し(59Nm)、アンダーガードとフロントタイヤを

取り付けて作業完了です。 その後は暫らく車の傍に座って神経を集中させて不安なことが無いか自問します。 

使った工具やウエス、消耗品が全て回収されていることを確認してから 試運転に向かいます。

 

 

(16)                                                 (17)   

 

 

作業日: 20141124

走行距離: 77,962 Km

 

 走り出すとハンドルが重くなった様な感触がありましたが、そうではなくて「ハンドルを送り出す力が角度に関係なく一定 

★ になった」と表現したほうが適切かも知れません。 右左に大きくハンドルを切ると、一定したスムーズなリアクションが   

 手に伝わって来ます。 フラットな直線路を走るとニュートラルの位置が安定しているだけでなく、路面の凸凹でステア  

★ リングが細かく振られる振動がなくなりました。 コーナリングを始めると切り初めからクリッピングポイントを過ぎても      

★ ハンドルにかかる力が一定でスムーズです。 この様なフィーリングはステアリングギアボックスやショックアブソーバーで  

★ 制御するものと思っていましたが、それだけでは無いことを実感しました。                                                    

★ 全く別の次元でハンドリングが安定しているのです。 それに路面からのキックバックが大幅に減少していることも実感  

★ しました。 だからと言って路面から返って来る必要な情報が減少した訳ではありません。                    

★ 更に、轍の深い路面では以前の様にいきなりハンドルが取られることも無くなりました。  元々、この車のステアリング    

★ は安定していますが、更に上質な感触が再現しました。 もっとコーナーを攻めたくなりました。 大成功です。