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現在、千葉県内18ヶ所に分散して一時保管されている指定廃棄物を長期に亘り安全に管理し保管する施設を千葉市内の
東京電力千葉火力発電所敷地内に建設予定とのことで、千葉市民を対象とした環境省主催の説明会が開催されました。
指定廃棄物とは平成23年に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故によって拡散された放射性物質に汚染された
ゴミなどを焼却した際に発生する濃縮された焼却灰や汚泥で、千葉県の場合は8,000Bq/kgから30,000Bq/kgの放射線
濃度のものを指すとのことです。
これらの指定廃棄物は同一県内で処理することを原則とし、他県からの持ち込みは行なわないことになっています。 しかし、同一
県内という
”くくり”は行政から見た管理主体の見解で、近隣住民からみると「他の場所にある汚染物質を何故沿岸部で地盤の
不安定な千葉市に集めるのだ?」となる訳です。
この日記では主張は控えますが、今回の説明会では技術的・論理的に掘り下げられていない一般向けで詳細不明な説明を繰り
返す環境省と、とにかく千葉市の臨海部にそんな施設を作るのは何が何でも反対する地域住民とが噛み合っていない印象でした。
勿論、質疑応答の時間があり、私も何点かの質問を用意していたのですが、主催者発表の700名からの出席者のあちこちから
質問が続いて私に質問の順番なんてとても回って来ませんでした。
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(1) 説明会の会場は千葉市問屋町のTKPガーデンシティ千葉の3階にある大広間で、1000人以上を収容できる立派な
大ホールです。 34度を越す暑い日には冷房が効いて快適な環境でした。 今回の実際の出席者は主催者発表では
700人とのことでした。
(2) 会場の入口には「白紙撤回」 の看板を持つ反対派が声をかけてきます。 何だか組織的な介入があるようで少々不安な
感じになって来ます。
(3) やっぱり会場の外ではノボリを立てた反対派がアジテーションを行なっています。 まだ、計画段階で予定地に適しているか
否かの検証はこれからなのに、近隣住民が今の段階でこれほど組織立った反対運動を展開する程の結束が出来るもの
なのでしょうか? 私も近隣住民なのですが。
(1)
(2)
(3)
(4) 参加者は殆どが60歳以上の方々の様です。 休日なのですが、若い方はそれ程心配していないのか、折角の休日なので
他のことに忙しいのかと思ってしまいます。 しかし、自分も含めて聴衆は年配の人間ばかりで不安感は更に広がります。
写真4はホテルの大広間での説明会の様子ですが会社時代のセミナーを思い出して懐かしくなります。
(5) 今日の説明会は場所が最終的に決定したことを前提としたものではなくて、これまでの経緯と候補地を選定した理由を
市民に説明する主旨であるとのことです。
(6) 写真6は説明会参加者に配布した資料の表紙で、千葉市のウェブ・サイトからも同じ資料がダウンロード出来ます。
http://shiteihaiki.env.go.jp/initiatives_other/chiba/visit/pdf/visit_chiba_info_150713.pdf
下記は過去に千葉市と環境省間で開催された説明会の議事録です。
https://www.city.chiba.jp/kankyo/junkan/haikibutsu/siteihaikibutu_youbou_1.html
https://www.city.chiba.jp/kankyo/junkan/haikibutsu/siteihaikibutu_youbou_2.html
https://www.city.chiba.jp/kankyo/junkan/haikibutsu/siteihaikibutu_youbou_3.html
(4)
(5)
(6)
(7) 現在は県内18箇所に写真の様なテント内で焼却灰を袋に入れて保管していますが、一時的なもので長期的にこの
ままでは、好ましいものではありません。 やはり一箇所に纏めて適切な管理を行なうことは必要であることに異論はあり
ません。
(8) 現在の千葉県内の保管量は資料のとおり約3,700トンあり、新設予定の保管施設に一年かけて集積するそうです。
この施設の保管容量は5,200トンで設計されているので、今後発生する指定廃棄物に対しても十分な容量がある
と説明されています。
(9) 心配なのが保管施設の高さです。 海抜3mの土地を1mかさ上げしますが、実際の保管庫は地下になります。
海抜とはあくまで海面からの高さの平均値なので、満潮時に高潮や津波が発生した場合は水没する可能性があるの
ではないでしょうか? 更に1年間+αの指定廃棄物搬入中は蓋をしないので、この期間に水没する危険が発生した
場合の防護措置はどうなるのでしょうか? 焼却灰は水没しても水に溶けて流れ出さないのでしょうか?
30,000Bq/kgもの放射性物質が何トンあるか不明ですが、これが東京湾に流れ出したらどうなるのでしょうか?
そう考えると何ベクレルの指定廃棄物が何トンあると言った定量的な表現をしていないのが非常に気になります。 例えば
30,000Bq/kgが1kgであれば、これが万が一浸水して1000kgの水に希釈されて外部流出しても30Bq/kg
程度ですが、開示資料の[平均20,700Bq/kg]から逆算すると30,000Bq/kgの汚染物は最大2136トンあるいは
その付近の数字であると極端に考えて不安になってしまいます。
そんな汚染物が東京湾に漏洩したら実害はあってもなくても『東京湾は放射性廃棄物で汚染された!』と海外メディアにも
大々的に宣伝されてしまうことになります。 東京オリンピックの前であれば更に絶好なターゲットになります。
正しいデータを隠蔽していると言われても仕方がないでしょう。 市民を説得する為にはリスクを定量的に説明して安全性
を訴えるべきです。 これらの点を質問したかったのですが、質問者が多すぎて選ばれませんでした。
(7)
(8)
(9)
(10)長期保管施設の位置は蘇我のアリオ奥の東京電力千葉火力発電所の敷地内です。
東京電力の敷地内と聞いただけでも、場所選定は「初めに東京電力ありき」 と思われても仕方がありません.
実際、他の地権者ではこの保管施設を受け入れることはあり得ないでしょう。
(11)環境省は長期保管場所の選定にあたり、図(11)に基づく評価点を集計し683箇所の対象場所を点数によって
ランク付けを行ないました。 この評点方式の可否についても意見がありましたが、環境省の評価では東京電力千葉
火力発電所に的を絞った訳です。
【RANKING表のURL】
http://shiteihaiki.env.go.jp/initiatives_other/chiba/pdf/chiba_info_150624.pdf
(10)
(11)
++++++ 説明の後、質疑応答が始まりました
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質疑応答は傍聴者席を6つのブロックに分け、それぞれに均等にチャンスが巡る様に考慮した方法で行なわれました。
しかし、質疑応答が始まると開場直後から始まった大声で品の無い野次とそれに呼応する拍手がより激しくなり、主催者側の
説明を遮ってしまって非常に不愉快な思いをしました。 これが説明を聞きに来た一般市民なのだろうか?
ヤジの声、タイミング等々、普通の市民とは思え無い程、場慣れした感じの方々とお見受けしました。 彼らの話には論理性
を感じませんでした。 とにかく千葉市に保管場を作るのは反対。 地盤沈下や液状化現象、危険なコンビナートの近くで
ある上、事故が発生したら海洋汚染が懸念されるので白紙撤回せよ!の繰り返しでした。
勿論、中には千葉を愛しこの地に長く住んでいるからこそ発する素晴らしい質問をされる方も沢山いらっしゃいました。
しかし私が心配するような技術的な懸念の払拭や、今後の調査結果の検証方法やフィードバックについての確約を取得する
には至りませんでした。 (何を言いたいのか分らない質問や自分の思いを述べるだけの質問では折角の質問時間の浪費です。
資料に書いていないことや答えられない質問に対して、いつどの様に回答するかの約束を取り付けることが大切です。)
この場所に保管施設を作る明確な意図を持った行政に対して白紙撤回を単純に叫んでも何の効果もありません。
「俺の近くに作るな!」と叫んでも、余程の理由が無い限りはどこの候補地でも同じことを叫ばれるので効果のある反対方法
ではありません。 県内18箇所の一時保管所に長期間放置する方が余程危険と思います。
現代人は震災直前まで原発という悪魔の毒をすっかりと体の中に溜め込んでしまい、原発事故で悪魔に敗北してしまっているのです。 今更知らんと言うのは筋が通りません。運命共同体なのです。 その環境の中で子孫の為に最善の方法を選択するしかありません。
今後の調査結果に基づいて修正される安全対策についてもっと深く論理的にチェックしなければなりません。 そして対応策を
一緒に考え改善すべきものは改善し、それが出来なければ危険なので白紙撤回を迫る手法が何故組めないのでしょうか?
そんな検討委員会が千葉市長直下の組織として出来れば良いと思います。 有識者委員会で検討しますと言われても
信用できません。 そもそも有識者会議は環境省の中にあるものであり、第三者機関と言えるのか疑問であると千葉市も
指摘しています。 有識者委員会ほどあてにならないものはありません。 そもそも行政が専門的なお墨付きが欲しい為に利用
する性格のものです。 国立競技場の問題を大きくしたのは無責任な有識者委員会がチェックポイントとして機能していない為
と考えています。
【以下参考資料】
(12)図12は今回、千葉市に搬入される「指定廃棄物」の放射線レベルと原子炉で発生する「高レベル放射性廃棄物」の
比較図です。
環境省 放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト (http://shiteihaiki.env.go.jp/faq/#faq_1)によると
1ベクレルは、放射性核種が1秒間に1回崩壊することを示しており、一般食品中の放射性セシウムの基準値は
100Bq/kg、飲料水は10Bq/kgと2012年4月1日から新たに定められたとのことです。
(13)ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)の単純比較は意味がありません。 同じ放射線量(Bq/Kg)を発する放射線物質でも、
環境によって人体が受ける影響度(Sv)は大きく異なるからです。
シーベルト(Sv)は放射線が人体に及ぼす影響の強さを表す単位です。放射線にはさまざまな種類があり、人が放射線
を浴びた場合は、その放射線の種類(アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子など)や、どの臓器が主に放射線を浴び
たかにより、がんの発生などの確率的な影響によって人が受けるリスク(死亡する確率の増加など)が変わります。
自然界から受ける放射線の世界平均は2.40mSv/Yearとされ、生涯で受ける積算線量ガイドラインは100mSvと
されています。
震災後の2012年7月に簡易型の放射線計で自宅周辺の放射線量(ガンマ線)を測定しましたが、その際の最小/
最大値は0.06μSv/h(0.53mSv/Year)から 0.16 Sv/h(1.40mSv/Year)の範囲でした。
要観察とされるのは100mSvを超える被ばくを受けた場合だそうです。(NIRS研究員の方の弁)
(14)今回の資料によると日本人が受ける年間放射線量は 2.1mSvとなっていますが、つい先日までは2.4mSvとなって
いました。 この差は極めて小さく、標高の高い場所に住む海外の人々の年間放射線量は更に大きなものとなって
います。
(12)
(13)
(14)
★★★★ この問題はこれからも継続して要モニターですね。 市民からよそ者の環境省に進言するよりも隣組である千葉市★★★★
★★★★ に進言した方が効果的と思われます。 千葉市に専門家を集めた検討委員会が出来ると良いのですが。
★★★★