特に故障ではありませんが、車検の度にお世話になっているBMWディラーからオイルフィルターハウジング、VANOSホース、シリンダーヘッドカバーからのオイル漏れ修理を勧められています。 これらの対応策は自分でも出来そうなので今回はオイルフィルターハウジングのガスケットとVANOSホースをDIYで交換することにしました。 本来は、この様な作業は暖かい時期に行なうのが理想ですが、車検前に自分でやっつけてしまおう!なんて欲を出すと寒い寒い冬の日に凍えながら作業を行なうことになってしまいます。 今回の作業実施に先駆けてネットで探し出した下記の先人達の作業手順をお手本にさせて戴きました・・・感謝です。 これらのサイトでは素晴らしく詳細な手順と注意事項を紹介してくれていますので、この日記では他ではあまり書かれていない失敗部分と要注意事項を主として記載したいと思います。 参考にさせて頂いたサイト 【Henatyoko Mechanic】 ←名前は謙遜されていますが、とんでもありません。 非常に参考になりました。 http://k96106.web.fc2.com/E46/e46seibi/e46oilhousing01.html 【50skid】 ←オプションで英語字幕が表示されるので英語でも分かり易いです。 現在M54エンジンをバラバラにしています。これからエンジンを組上げて行く様子もYouTubeで公開して行くそうです。 https://www.youtube.com/watch?v=zC_cmsX68Ok |
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VANOSホースからのオイル漏れは金属部分とゴムホース部分をかしめている金具の両脇の計2ヶ所で発生しています。 過去にこのホースを交換したことはありません。 |
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今回の交換部品は、図中に赤丸で囲まれた、ガスケットとVANOSホース、そしてVANOSホース固定部の金属ワッシャー4個の予定です。 これだけの部品を交換する為に外す主な部品は下記の通りです。 @
ラジエター上の大きなインテークカバー、ACUセンサー、 ラジエターファンとファンシュラウド A
エアクリーナーボックス B
ファンベルトとアイドラープーリー。 テンションプーリーは 必須ではありませんが私は外しました。 C
オルタネーター とパワステポンプ D
パワステ オイルリザーバー E
オイルフィルターハウジング |
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これが社外品のVANOSホースと固定部分の銅ワッシャーです。 純正部品はアルミ製ですが、これだけディーラーにオーダーするのも気が引けるので、同じサイズ(外20mm x 内14mm x 厚1.5mm)のアストロプロダクツ製の銅製品を購入しました。 お値段は5個でたったの320円(税抜)。 |
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こちらはオイルフィルターハウジングのガスケットです。 あまりにも小さい部品なのでビックリ。 これも社外品です。 |
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銅製のワッシャーはアルミ製よりも硬いので昔から行われている「焼きなまし」をして柔らかくしました。 方法は写真の様にガスで焼いて全体が赤くなったら水にジュバッと放り込みます。 焼き過ぎると銅が溶けて変形するので要注意。 |
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工具はそれ程特殊なものは使いません。 ファンを外すSST位でしょうか。 それとオイルフィルターハウジングを外す際に想定外のオイルが垂れますのでオイル受けトレイとペーパータオル、ウエスと油の滲みた紙を入れるビニール袋と作業用ビニール手袋程度でした。 そうそう、トルクレンチは必須です。 |
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まずはエアクリーナーボックスを外します。 10mmボルト2本を外し、インテークホースクランプとエアマスセンサーのコネクターを外して持ち上げるだけです。 |
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エアクリーナーボックスの下側には写真の様な”ツノ”が1本立っていますので取り付ける際にこのツノをゴム製の台座に開いている穴に合わせて挿入します。 |
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ラジエター左側に付いているACUセンサーのブラケットはこんな感じです。 外す際は @
に押す。 A
箱の右側を持ち上げる。 B
右側を持ち上げたまま箱を左に押す。 C
箱の左側を持ち上げる。 で外れる筈です |
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ここから先、アイドラープーリーを外すまでの手順は、以前にプーリーと水周りを交換した際の投稿を参照して下さい。 |
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ここでアクシデントが・・・。今回の作業なのか以前の作業なのかハッキリと自覚していませんが、とにかくファンを外す際に思い切りSSTを廻した為に勢い余ってSSTがアッパーホースのクランプ部分にヒット。 どうやらクランプの樹脂にヒビが入ってしまった様です。 今すぐに抜ける訳ではありませんが交換しなければなりません。 あまりにも寒かったので集中力を欠いていたのかも知れません。 自己嫌悪することしきりです。しかし、アッパーホースの位置が悪いよなー。 |
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ファンとファンクラッチが外れました。 実は今回の作業目的の中に「ファンを取り付けたときと外したときのラジエター周辺のガラガラ音」を比較することも含まれているのです。 その様子は後でYouTubeの映像と音で紹介します。 |
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エアクリーナーボックスを外すと、オルタネーターが見えて来ました。 これからが作業の本番です。 オルタネーターはアイドラープーリー固定ネジ16mmと共締めで固定されていますので、まずはアイドラープーリーを完全に抜いてしまいます。 それともう少し下側にある、もう一本の16mmボルトの合計2本で固定されています。 締めるときのトルクはどちらも43Nmです。 |
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その前に、ラジエターファンを付けた時のガラガラ音と外した時の音をYouTubeにアップしましたので聞いて見て下さい。 ここをクリックするか写真(14)をクリックして下さい。 その結果・・・・ガラガラ音はベルト関係ではなくてファンクラッチの中から発生していることが分かりました。 現時点では音だけの問題なので、今回は切り分けのみとしました。 |
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オルタネーターを外す前に+12Vの電源ラインを外します。 この場合、バッテリー端子ではなくて右ショックアブソーバーのアッパーマウントの近くにある電源接続ポイントを外すことでも大丈夫です。 |
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オルタネーター出力の太い線はゴムブーツの中で13mmの皿ナットで締め付けられています。 締め付けトルクは13Nm。 その他制御用のラインがコネクターで接続されています。 |
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さて、ステップ(13)で記載した16mmボルトを抜くと、下側に付いている冷却用エアダクトを外すとオルタネーターが外れる筈ですが、下側のボルトが抜けているのにも関わらず、あたかもボルトが入っている様に手前にスライドしてくれません。 仕方がないのでバールを隙間に突っ込んで軽くこじると、ようやく外れてくれました。 |
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ようやくオルタネーターが外れました。 自分でここまで出来るなんて少々気分が良くなりますが、肝心なのは取付てから正しく動作することなので、ここで喜んではいけません。 オルタネーターが外れなかったのは写真(18)の黄色矢印部分と、オイルフィルターハウジング側の取り付けスリーブとの間で「カジリ」があった為だと思います。相手側を挟む様なコの字型なのとダイキャストに打ち込んである鉄製のネジ金具が固定用の16mmボルトを締め込むことで少しずれたり変形したりするのかも知れません。 次回もバールが必要と思います。 |
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オルタネーターが外れてオイルフィルターハウジングの全貌が見えて来ました。 先程のオルタネーターの黄色矢印で示した部分が写真(19)の黄色の丸印で示した部分を挟み込む構造です。 これをアイドラープーリーの固定ボルトで43Nmものトルクで締め付けるのですから変形しますよね。 ところで、オイルフィルターハウジングの右側に相当量のオイル漏れの跡が残っていました。 外したコネクターの向こう側です。 更に下に流れ出た痕跡もあります。 ここはVANOSホースの取り付けホールのすぐ下です。 ひどいオイル漏れはVANOSホースが原因なのかも知れません。 |
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特に意味はないのですが折角外したオルタネーターなので、もう一枚写真を残しておきます。 出力端子の13mmボルトと制御用ハーネス用の四角いコネクター穴が見えます。 時間があれば黒い樹脂カバーを外して接点の状態を見たり、クーリングファンの様子を見たかったのですが、時間がないので止めました。 |
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次にパワステポンプをオイルフィルターハウジングから外します。 目的はオイルフィルターハウジングをフリーにすることなので、オイルホースは外しません。 前から1本、後から1本、そして写真(21)の矢印部分にもう1本の13mmボルトが隠れています。 これらの締め付けトルクは22Nmです。 |
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少し緩めていますが、これがパワステポンプの三番目の隠れスクリューです。 オルタネーターの下側固定ボルト貫通穴のすぐ奥と理解すると発見し易いです。 |
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ハウジングを外す前に、オイルフィルターキャップを外しておくと中のオイルがエンジン内部に流れ込むので外した際に外にこぼれるオイル量が少なくなるそうです。 どっちみち、このキャップがあると邪魔で作業がやりにくいので今のうちに外しておきますが、何と36mmの大型ソケットを使います。締め付けトルクは25Nmです。 滅多に使わないサイズですがネットやASTRO Productsで安価に購入可能です。 |
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しかしオイルフィルターハウジングには沢山の重要パーツが取り付けられています。 ちなみに; アイドラープーリー、テンションプーリーとテンショナーA’ssy、オルタネーター、ステアリングオイルポンプ、オイルフィルター、VANOSホース、オイルプレッシャースイッチー、オイル温度センサー、パワステオイルリザーバー と盛り沢山です。 DIYテクニシャンにとっては勉強になるので、かなりの寄り道をしてしまいます。 これらを全て外すのですが、センサーやスイッチ類はコネクターを抜くだけです。 写真はようやく外したオイルフィルターハウジングです。 ハウジングの固定スクリューは13mmボルト6本ですがそれぞれ長さが異なるので同じ位置に戻して締め付けて下さい。 締め付けトルクは 22Nmです。 |
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こちらがオイルフィルターハウジングの内側です。 黄色で囲んだ部分は位置合わせスリーブを挿入する為のダボ穴ですが、スリーブが抜けやすい為かハウジング側にくっついて来ました。 この場合は要注意です。後で説明しますがハウジングをエンジン本体に合わせて取り付ける際に、なかなか合わないので位置を合わせる為に少しずつ動かしている内にスリーブが外れてハウジングの空洞部分に落ちていることに気が付きました。 アブナイ
アブナイ! このスリーブはエンジン側にしっかりと差し込んで下さい。 ガスケットの交換時に何処かに転がって行くかも知れません。 |
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オイルフィルターハウジングを取り外す時に流れ出るオイルの量が分からなかったので、エンジンの下にトレイを置いておきました。 実際に外したときに、思った以上のオイルが流れ出て来ました。 そのオイルはハウジング下のエンジン部分にもべったりと付着し、更に流れ出た量がこんなにありました。 ウェスやペーパータオルでは間に合わない量ですね。 |
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外したガスケットは長期間圧力をかけて押されていた為か、確かに薄くなっていてオイルのシーリング機能については低下していると思いますが、本当のところは良く分かりません。 17年間使いましたが写真の様にまだ柔らかさも失っていません。 オイル滲みの本当の原因はVANOSホースのカシメ部分であった様な気分になって来ました。 でもネット情報やBMWディーラーの話では定番の交換部品だそうなので今回も無駄な作業ではないと思います。 |
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オイルフィルターハウジングを外す際に相当量のオイルがこぼれてエンジンブロックに付着しました。 ハウジング内部にクリーナ液が入り込まない様に養生してからブレーキクリーナーをスプレーして付着したオイルや汚れをクリーニングしました。 ガムテープ下の部分は普段はフィルターハウジングで蓋をされていますがガスケットは付いていません。 多分、ハウジングに沢山の部品が付いているので強度を確保する為に大きなブロックにしているのだと思います。
この部分の汚れはシール劣化で滲み出したものなのか、ハウジングを外した際に流れ落ちて来たオイル汚れなのかは判断できませんでした。 それと、フィルターハウジング右側のエンジンブロックにかなりの汚れとオイルが付着していましたが、状況から考えるとこの位置はVANOSホースの差込口なので、VANOSホースからの漏れも相当量あったと判断出来ます。 |
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これが外したVANOSホースです。 カシメ金具の両端にオイルが滲み出た痕跡があります。 更にホースの先の太鼓部分とカシメ金具を掴んでひねると全く抵抗無くクルクルと廻ってしまいます。 ホースの両端共に同様です。 新品のホースは全く回転しませんし、回転する必要もありません。 多分、この繋ぎ目が長期間のヒートサイクル(エンジン停止/始動や気温の変化による温度の上下)で緩んでオイルが滲み出たものと思います。 |
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この写真は新しいVANOSホースをフィルターハウジングに取り付けた時のものです。曲がっている方がハウジング側です。 今回、このホースの取付けで苦労しました。 VANOSホースを留めている19mm のバンジョーボルトは32Nmのトルクで締める必要がありますが、フィルターハウジングを取り付けた状態ではトルクレンチが入りません。 従って、フィルターハウジングを外した状態でホースを交換し、規定値でボルトを締め付けました。 しかし・・・・・ VANOSホースを付けた状態ではフィルターハウジングがエンジンブロックにピタリと張り付きません。 うまく入る位置を探したのですが、何処にセットしてもゴトゴトしてうまく収まりません。 そのうちに、VANOSホースの取り付け位置が悪くて別のホースに干渉してフィルターハウジングが正しい位置に収まらないことがわかりました。 このゴタゴタの最中に前述の金属スリーブの内部落下に気が付いたのは運が良かったとしか言えません。 夢中になっているときは要注意ですね。 |
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何度もVANOSホースの位置をずらしてハウジングをピタリと収めようとしたのですが、結局バンジョーボルトを緩めたままフィルターハウジングを固定して、VANOSホースの固定はその後にしました。 この場合、スペースの問題でラチェットレンチが入りません。 結局、写真の19mmソケットとT-スライドハンドルの組み合わせで下側のバンジョーボルトを締め付けました。 従ってトルクレンチは使えませんでした。 |
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上側のバンジョーボルトもサーモスタットハウジングが干渉してソケットレンチやトルクレンチが使えません。 19mmのメガネレンチが役に立ちました。 |
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さて、あとは取り外し作業の折り返しでオルタネーターやステアリングポンプやベルト関係機器を取り付けて作業は終了です。 注意すべきは締め付けトルクです。 エンジンを廻して新たなオイル漏れや異音が発生していなければ作業終了です。 最後にオイルレベルを確認して試運転に出かけます。 |
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参考の為にBMW E46の締め付けトルク表をメモとして残しておきます。 型式はGF-AM20、エンジンはM52TUB20です。 他のモデルとは異なる場合がありますのでご注意下さい。 |
作業日: 2017年1月12日
走行距離:
89,251km
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今回は初めての作業部分が多かったり、寒い日に作業した為に手がかじかんだりして、思いもよらぬミスや想定外の
事態が発生しました。 やはりDIYの場合は暖かくて日照時間が長い日にじっくりと作業すべきですね。
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