自動車のメンテナンスやタイヤ交換をDIYで行う殆どの人は車載ジャッキは非力だし物足りないので、フロアジャッキ(ガレージジャッキ)を購入すると思います。 確かにフロアジャッキは便利ですが使用されているゴム系シールやオイルの経年劣化の為に性能が劣化して来ます。 別の言い方をする「古くなると自然にジャッキが下りてしまう」ことがあって非常に危険です。 この下り方はゆっくりだったり、急にガツンと落ちる場合もあります。 また、新しいジャッキでも使い方を間違えると上記同様の落下や、車のジャッキポイントから外れることあります。 以前にフロアジャッキのメンテナンスを中心に日記を書きましたが今回は安全な使い方を中心に日記を残したいと思います。 正しいフロアジャッキの使い方は自動車整備の基本ですので十分に時間をかけて理解する必要があります。 この日記を読む前に車整備のプロが作成した「ジャッキアップ
詳細 Jack-up Detail」のYouTubeを参照することをお勧めします。 【URL】 https://www.youtube.com/watch?v=cwYte4745zg YouTubeを見終わったら下記の投稿を見る必要が無くなるかも知れませんが、アマチュアの私なりの注意点も併せてご覧下さい。 |
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このフロアジャッキは約25年前に購入した時代物ですが、使用頻度が少なく、保存環境がそこそこ良いし、何度か手入れをしていますので現在でも時々DIY自動車メンテナンスに使用しています。 本当の理由は、新しいものを購入する前に保管スペースの問題から古いものは廃棄しなければなりませんが、こんなに重い鉄の塊を廃を処分するのが面倒だから・・ かもしれません。 |
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【使用前の確認】 DIY整備者の場合、フロアジャッキは日常的に使うものではないので長期間の保管をしたものを久し振りに使うケースが多いと思います。 安全確保の為に、使用前に最低限下記の確認が必要と思います。 (1) エア抜きが確実にされているか? (2) ジャッキオイルは不足していないか? (3) 可動部やバルブに錆びや固着はないか? (4) 作業場所は水平で、かつ固い床面か? 空気が入っていると一度は圧縮されますが、空気はオイルと比べると抜け易いのである瞬間に「ブシュ」と抜けてジャキが一気にダウンする可能性があります。 |
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【ジャッキのかけ方】 タイヤ交換の為にフロアジャッキをタイヤ交換用のジャッキアップポイントに当てる場合は、キズ防止の為にゴム板を挟むことは問題ないのですが、エンジン下部やリヤデフ等の整備用ジャッキアップポイントを使う場合はジャッキの皿には専用ゴム以外の保護板は挟まないこと。 特にホームセンター購入の一般ゴムは変形したり重さに耐えかねて破断し、ジャッキが外れてしまう場合があります。 (私も経験しました:涙) 車のジャッキアップポイントの出っ張りや穴等の凸凹に合わせて、ジャッキ側の凸凹を噛ませる様なイメージで鉄同士が引っ掛かる様にジャッキを当てます。 平面部分にジャッキをあてると滑りますので絶対にしないこと。 写真は車の凸ポイントにジャッキの凹皿を合わせたケースのものです。 |
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【ジャッキ車輪の向き確認】 ジャッキアップする前に 後輪(手前側)の車輪は真直ぐ前に進む方向にセットします。 何故なら、フロアジャッキはジャッキアップすると必ず前に進むからです。 もし、後輪が横を向いて全体が前に進めなければ、ジャッキアップポイントから外れる 危険があります。 |
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【ジャッキ車輪の向き確認】 この写真は悪い例です。 フロアジャッキは写真の奥方向に進んで行こうとするのに、後輪は横を向いているので前に進めません。 |
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【ジャッキは上がると奥にスライドします】 既に理解されていると思いますが、あらためてフロアジャッキが奥にスライドする理由を説明します。 と思いましたが、文章で書くよりも左の図を見た方が分かり易いですよね。 ジャッキの皿部分Aは後方の支点を中心に弧を描きながら上昇するので、ジャッキの中心部に向かって後退します。 従って正しい使い方の場合は皿部分Aと車のジャッキポイントは固定されるので、ジャッキ本体が前にスライドして、これらの位置を保持します。 もし、床面のスライド抵抗が大きくてジャッキ本体がスライドしなければ、車のジャッキポイントが外れて最悪の場合事故となります。 フロアジャッキに車輪が付いているのは使い易さ以上に、この点が主な理由と思います。 従って、フロアジャッキが動けない場所は危険なので原則としてフロアジャッキは使えません。 何故原則かと言うと、フロアジャッキが動けない場合は、ジャッキアップポイントが外れない前提で、自動車の後輪を動かせば宜しい訳です。その状態ではサイドブレーキは外し、ギアはニュートラルにしなければならないので、とても不安定な状況になります。 従って私はお勧めしません。 |
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【ジャッキのスライド抵抗を小さくする:鉄板を敷く】 ジャッキアップの際にもうひとつ大事なことは、ジャッキアップに伴うジャッキのスライド抵抗を可能な限り小さくすることです。 フロアジャッキの車輪は小さくて固いので僅かな接地部分に1トン弱の力がかかります。 すると、表面がザラザラ程度のコンクリートでもかなりの ころがり抵抗が発生します。 これを抵抗少なく転がすには、フロア表面も相当固くしないと不可能です。 フレキシブルに回転する後輪が横を向いていても自動的に進行方向に向かうしくみは、固くないコンクリートフロアでは機能しないと思います。 下手をすると床が削れて動かないかも知れません。 そんな条件が良くないフロアの場合は写真の様な鉄板を敷くと驚くほど軽くて安定したジャッキアップが可能になります。 しかも動きにくい為に発生する“ひずみ”が殆どなくなるのでより安全です。 ホームセンターで売っている3.2mm厚の側溝蓋用鉄板の裏側は平らなので引っくり返して使えば良いかなと思います。 言わずもがなでリジッドラックと輪止めはフロアジャッキ作業には絶対必要です。 リジッドラックは、車載ジャッキを当てるジャッキポイントにセットします。 DIY整備士の場合はタイヤを車体の下に入れることも良いと思います。 とにかく、フロアジャッキだけの状態で頭を車体の下に入れることだけは止めましょう。 |
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【余分なものは挟まない】 車のジャッキアップポイントとフロアジャッキの間にホームセンターで購入した厚いゴム板を挟んでいますが、これはバツXXXです。 決してやらないで下さい。 何故なら不安定だからです。 ゴムがグリップするよりも強烈な重さで使用中に突然破断して外れてしまう可能性が大です。 どうしてもゴムのアダプターを使うのなら、強化ゴムで出来た専用の製品を使うべきです。 |
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【余分なものは挟まない】 これが破断したり重さでつぶれてしまった厚手のゴム類です。 右側の欠けた半球型のゴムは、フロアジャッキがうまくスライドしなかった為にこのゴムの中で強烈なひずみが発生し、角が欠けただけで無くゴム全体が変形して外れ落ちてしまいました。 大事には至りませんでしたが、クロスメンバ端の鉄板を少し曲げてしまいました。 整備用ジャッキアップポイントには、エンジンの重さがモロにかかりますので、特に注意が必要です。 |
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【お手入れ編】 ここから先は、フロアジャッキのメンテナンスについて記載します。 写真はピストンを抜いた状態です。 確認のポイントは下記と思います。 (1)車輪や軸等の可動部の固着や変形、ひび割れ等の点検 (2)バルブ内のオイルシールの劣化対策 (3)ジャッキオイルの量や劣化対策 (4)スクリュー類のゆるみ点検 等々、に尽きると思います。 |
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【ピストンバルブ点検】 ジャッキの種類によって違いはありますが
私の所有ジャッキを例にするとジャッキのレバーを上下させると、この小口径ピストンとシリンダーがオイルを大口径シリンダーに送り込んでジャッキアームをアップさせる仕組みになっています。 シリンダーの途中にはO-Ring がはめ込まれていますので定期的に交換が必要です。 左側のロックピンの上のロッドは手動レバーの力でピストンを押し下げるコネくティングロッドとして機能します。 |
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【リリースバルブ】 写真はリリースバルブです。 このバルブはピストンの様に上下はしませんが、緩めると大口径側シリンダーの油圧が下がってジャッキが下りて来ます。 従って、バルブの締め方が緩かったり、O-ringが劣化すると、使用中にジャッキが下りてきて危険な状態になります。 私の場合もバルブを抜くと、写真のO-Ringが付いていました。 本来は交換すべきですが、近所のホームセンターには水道用の物しか置いていないのでネットで注文して交換する予定です。 リリースバルブ内に小さな金属ボールが入っている製品があるので、なくさないように要注意。 |
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【ジャッキオイルとピストンバルブ点検】 ジャッキオイルが不足するとエアを噛んだり、途中までしか上昇しなかったりで、危険な状態に陥ります。 補充したオイルはホームセンター等で販売されている エーゼットジャッキオイル10番。 オイルの量は私の場合はジャッキを下げた状態でキャップ穴から10mm下程度。 ピストンバルブ用のO-Ringは11番。(内径10.8mm, リング太さ 2.4mm)です。 この写真のO-Ringはホームセンターから緊急用に購入したもので水道用です。 後日、ネットショップで耐油製のものを購入して交換しました。 |
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【ジャッキオイルとピストンバルブ点検】 バルブや他の場所からオイルが漏れていたらオイルの補充と共にエア抜きも必要です。 【エア抜きの方法】 (1) オイル注入口のエアベントキャップ(ゴムキャップ)を開ける。 (2) リリースバルブを2-3回転緩める。 (3) 素早くポンピングを10回程度行う。 エアが入っていると「ゴボゴボ」音が聞こえます。 (4) オイル量を再確認し、減っていたら補充する。 確認後、エアベントキャップの蓋をする。 (5) これで終了ですが、長時間ジャッキアップして下記の確認は必要と思います。 ・オイル漏れの有無 ・ジャッキが下がって来ないことの確認 |
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フロアジャッキは便利ですが、特に日常的に使うことがないDIY整備者にとっては命にかかわる危険な側面が多く含まれています。
私の書き留めた内容は面倒かもしれませんが、自分の経験(失敗?)も多く含まれています。 また、この日記に記載した内容は
私の環境を元に作成しましたので、全ての方にとって最適な方法とは限りません。 参考にする方はあくまで自己責任で作業を行なって下さい。
以上、これらの注意点を認識した上で楽しいガレージライフを楽しんで戴きたいと思います。
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